ビデオキャプチャーに関する調査報告
(2004. 5. 4 ヘンゼルの記憶)
ビデオキャプチャーとは
ビデオキャプチャーとは TV や ビデオカメラなどの映像を PC に取り込むことである。デジタルビデオカメラ等からの取り込みでは直接デジタルデータとして入力することも可能だが、ここでは TV やビデオデッキなどからの信号を A/D 変換して取り込むアナログビデオキャプチャーについてのみ述べる。
ハードウェアエンコードとソフトウェアエンコード
ビデオキャプチャーを行うためには、購入時に最初からその機能が付加されている場合を除き、ビデオキャプチャーボードを PC に増設する必要がある。
このビデオキャプチャーボードには、動画データを MPEG などのフォーマットに圧縮する機能を持つものと、ボード上にはその機能が搭載されておらず付属や市販のソフトウェアによって行うものがある。前者のように専用のチップによって行う圧縮をハードウェアエンコード、後者をソフトウェアエンコードという。
なお動画を圧縮せずに取り込む方法もあるが、データのサイズが膨大で HDD がすぐにいっぱいになってしまう。
ハードウェアエンコードの特徴
- PC の性能にほとんど影響されない。
- 圧縮された動画が比較的綺麗である。
- 性能はハードウェアで決まってしまう(はず)。
- 2万円弱〜数万円と高価。
ソフトウェアエンコードの特徴
- PC の性能が不十分な場合、低いビットレートでしか圧縮できずコマ落ちも発生しやすい。
- 画質はハードウェアエンコードに劣る。
- 性能は使用するソフトウェアに大きく左右される。
- 1万円前後と安価。
Prime TV 7135
NOVAC 製の格安ビデオキャプチャーボード。その特徴は以下の通りである。
- TV チューナー搭載で赤外線リモコンも付属。
- TV 視聴/キャプチャーソフト「LifeView TVR」添付。
- ビデオファイルのカット・トリミング等最低限の機能を備えたビデオ編集ソフト「Ulead Video ToolBox 1.5」添付
- DVD オーサリングソフト等はなし。
本格的な動画編集や DVD 作成などを考えている人は決して買ってはいけない製品である。とにかくキャプチャー出来さえすればいい、という人のための製品と言えるだろう。
キャプチャーソフト
今回テストしたキャプチャーソフトは LifeView TVR、Windows ムービーメーカー、Prime PVR の3種類である。
LifeView TVR
キャプチャーソフトとしての特徴は以下の通り。
- 対応フォーマットは、MPEG-1/2/4。
- MPEG-1/2 では 320×240〜720×480 まで 5段階でサイズを選べる。
- DVD モード(720×480)で選べるビットレートは 4/6/8 Mbps。
Windows ムービーメーカー
Windows XP に標準添付されたソフトウェア。
キャプチャーソフトとしての特徴は以下の通り。
- 対応フォーマットは WMV、AVI(DV接続時のみ)。
- WMV では 160×120 〜 320×240 まで 5段階でサイズを選べる。
- WMV(320×240) で選べるビットレートは 0.1 〜 0.7 Mbps。
Prime PVR
キャプチャーソフトとしての特徴は以下の通り。
- 「CINEMA CRAFT ENCODER」を採用。
- 対応フォーマットは MPEG-1/2 のみ。
- MPEG-1 はビットレート 1.15Mbps、サイズ 352×240 のみ。
- MPEG-2 はビットレート 3Mbps、サイズ 640×240 か、ビットレート 6Mbps 以上、サイズ 720×480 のどちらかを選べる。最大で 15Mbps まで設定可能だが、6Mbps 以外は動作保証対象外。
キャプチャー結果比較
上記 3種類のソフトウェアによるキャプチャー結果を示す。
ただし各ソフトウェアでサポートするフォーマットやビットレートは異なるため厳密な比較を行うことが出来ない。このためここではノイズの除去や色合いといったフォーマットに左右されにくい点に注目して比較を行う。
なお素材には「
鉄騎大戦」の Replay を使用した。
シーン1
| ソフトウェア | キャプチャー画像 | キャプチャー画像拡大 |
LifeView TVR MPEG-2 320×240 6Mbps |
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ムービーメーカー WMV 320×240 0.7Mbps |
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Prime PVR MPEG-2 720×480 6Mbps |
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シーン2
| ソフトウェア | キャプチャー画像 | キャプチャー画像拡大 |
LifeView TVR MPEG-2 320×240 6Mbps |
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ムービーメーカー WMV 320×240 0.7Mbps |
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Prime PVR MPEG-2 720×480 6Mbps |
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まとめ
| ソフトウェア | キャプチャー結果 |
| LifeView TVR | 発生源は不明だが縦縞状のノイズが載っている。暗くなると色が極端に緑がかってしまう。また分解能が低いのか色がつぶれている。 |
| ムービーメーカー | LifeView TVR と同様の縦縞ノイズが載っている。サイズ、ビットレートを大きくとれないため、像がぼやけてしまいがち。またシーン1のようなくっきりとした画面では圧縮ノイズがフレームごとに変化し画面が激しく揺れているように見える。 |
| Prime PVR | LifeView TVR やムービーメーカーで発生していたノイズが完全に除去されている。問題となる点は特にない。 |
最後に
今回の調査は非常に限定された条件で行っており多くの人にとって役に立つ情報はほとんどないかもしれない。
ただし \10,000 前後で似たような製品がいくつも発売されており、「
Prime TV 7135」の価格面での優位性が失われることになる。