Opera に関する調査報告
(2003.10.28 ヘンゼルの記憶)
Opera とは
ノルウェーの会社
Opera Software ASA が開発した IE、Mozilla/Netscape に続く第3の(とよく言われる)ブラウザである。ちなみに IE と Mozilla/Netscape のどちらが第1かヘンゼルは知らない(笑) 歴史では Mozilla/Netscape、現在のシェアでは圧倒的に IE なのだが。
Opera の誕生は 1994年と言われているが、その歴史は(日本では)謎に包まれている。というのも日本に上陸したのは約 8 年後の 2002年 2月 8日、Opera 6.01 for Windows が登場してからなのだ。
それまで Opera Software ASA の人々も地球の反対側(といってもかなりずれているが…)に日本という国があることを知らなかったかもしれないが、日本人の多くも同ブラウザの存在を知らなかった。いや、今なお多くのパソコンユーザーは Opera を知らない(笑)
特徴
Opera の特徴はなんといってもタブブラウジング + マウスジェスチャーによる快適な操作性にある。かつては動作の軽さがウリだったが最近のマシンでそれを実感するのは難しい。また非 IE ブラウザがたいていそうであるように Opera も W3C への準拠やセキュリティーの高さを
謳っている。
Version 6.XX は日本語対応に問題があり、やはり遠い国のブラウザか、と一部で嘆かれたらしいが、現在配布中の Version 7 以降ではほとんど解決したようだ。2003年10月28日現在の最新版は Version 7.21 であるが、この調査では Version 7.20 を使用している。
なお Opera は有料ブラウザであるが、\4,800 を払わなくても特に機能制限はない。ただ右上に広告が表示されるだけである。
Opera はまだ開発中?
Opera の「機能」について、実は全く不満はない。タブブラウジングとマウスジェスチャーに関しては本家だけあって快適そのものだし、軽快さも基本的には IE 並である(訳注:低スペックのマシンではかなり効果があるらしい…って訳じゃなーい!)。スキンの種類も豊富で、「
Tobs Theatre paper」は Mozilla の
Walnut に転ぶまで超お気に入りだった。
しかし一方では、高速化のために無理してないか? と思わせる部分が多数あるのも事実である。
そこでここではどう考えてもバグとしか思えないものからちょっと気になる部分までを挙げてみることにする。なお例によってこれらを重要視するかどうかは人それぞれである。それ以前にあなたの環境では再現しないかもしれないが。
IE から「お気に入り」をインポートすると…
酷いことなる。一部のページのURLが壊れて見られなくなってしまうのだ。
いろいろ調べてみるとどうやらフレームやインラインフレームを含むページが正しくインポート出来ないようだった。ちなみにヘンゼルの場合このようなページは10以上もあった。その中にはここ「ヘンゼルの館」も含まれる。
ちょっと情けないバグである。
Opera って本当に速い?
画像が多いページではむしろ遅いともいわれる Opera のレンダリング処理だが、環境によっては実際驚くほど遅くなる処理がある。フレームやウィンドウのサイズを変更して、ページのレイアウトが再計算される場合などだ。他のブラウザなら一瞬で再描画され、サイズの変更に追随して連続的に描画されるページが、Opera では数秒も待たされることがある。
アニメ gif の表示が重!
いつもというわけではないが、ときどきどうということもない小さなアニメ gif を描画するのに膨大な CPU パワーを使うときがある。もちろん同じページを IE や Mozilla/Netscape で表示しても CPU 使用率のグラフは低空飛行を続けたままだ。
リンクが visited になる瞬間
「
Mozilla に関する調査報告」でも触れたが、クリックされたリンクの描画に関する Opera の実装は最低にかっこ悪い。ユーザーが他のフレームに表示されるリンクをクリックしたとき、リンクのスタイルは一見変わらないように見える。しかし他のウィンドウに隠れて再び現れたときなど「再描画」が行われると visited として描画される。つまり文字列の半分だけ他のウィンドウに隠れた場合、次に現れたときにはその半分だけが新しいスタイルで表示されるのだ。
Mozilla もそうだが、なぜ IE のような実装が出来なかったのだろう。
リンクの下線が残る
使っているマシンにもよるが、フレームやウィンドウのサイズが変更されてページ内のレイアウトが再計算され、センタリングされているリンクの文字列が左右に移動する場合に、リンクの下線がもとの位置に残ったままになることがある。
このときも他のウィンドウに隠れるなどして再描画がかかった場合、その部分だけが正しく表示される。ときには元の位置から現在の位置まで繋がった長い下線になってしまうこともある。
なおこの現象は職場のマシンでは発生するが、にうマシンでは発生しなかった。職場のマシンも Pentium4 1.8GHz クラスのマシンであり決して遅くはないのだが…。
画像が崩れる
同じ画像を含むページへリンクした場合にその画像が崩れて表示されることがある。どのページでも発生するというわけはなく、いつも発生するわけでもないが、他のブラウザでは見たことがない現象である。
サイズ変更が出来ないサイズ変更枠
大きなページを閲覧して垂直・水平両スクロールバーが表示されているとき、2つのバーが接する右下の部分に、いかにもサイズが変更できそうなぎざぎざが現れる。実際ここにマウスカーソルを持って行くと「サイズ変更」カーソルになる。
しかしここをドラッグしようとしても全く動かない。実際にサイズが変更できるのは一番外側の枠だけである。
こんなバグすぐ気づいてくれ(ノд`。)
文字が左にずれる
テーブル内の文字が左にずれて見えなくなることがある。発生場所は
ここ。Microsoft のページなので
例の問題を疑ったが、UAを IE6 に変えても結果は変わらなかった。とはいえ疑いは残るが。
最後に
Opera は期待していいのか悪いのかさっぱり判らないブラウザだ。タブブラウジングやマウスジェスチャーなどの機能をいち早く盛り込み普及させた功績があり、お金を儲けようとする分だけ趣味に走っている Mozilla より改良やデバッグが早く行われるのではという期待もある。
その反面、無理な高速化を追求したせいなのか、レンダリング処理に怪しげなところが多い。一見すると Mozilla/Netscape よりも IE に近い表示をしてくれるので IE から移行しやすそうに見えたりもするが、いろいろなサイトを見ていくうちに、IE や Mozilla/Netscape が難なく表示するのに Opera だけが意図通りに表示出来ないページを次々と発見してしまったりもする。テキストに特化したと言われるその高速化も、ブロードバンドな回線とハイスペックなマシンの普及により画像を多数貼り付けたページが増えた現在ではかえって仇となっている。
また、これは Mozilla なども同様であるが日本の市場をどの程度その視野に捉えているのかも不安なところである。
とはいえ、IE を使うのが嫌 or 不安であり、Mozilla/Netscape の導入に挫折 or デフォルト状態での低機能さに失望した人にとって、Opera は決して第3のブラウザではなく、最良の選択肢となるだろう。ただし \4,800 を支払う気になるかどうかは使っているディスプレイの狭さにかかっている。