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Webブラウザに関する調査報告
(2003.10.18 ヘンゼルの記憶)

背景


紅葉の候みなさまにはいよいよご清適のことと大慶に存じ上げます…って拝啓じゃなくて背景だ(報告書でボケるな!)。
というわけでこの調査の背景について説明する。
10月11日にヘンゼルのにうマシンが稼動を開始した。そして旧マシンからのデータ移送や各種アプリケーションの選定とインストールをちびちびと行っていた10月16日にそれは起こった。
なんと「Internet Explorer」の入力フォーム上で MS-IME が ON にならなくなってしまったのだ。
実はこの現象、前マシン(Windows98 IE6SP1)でも頻繁に発生していた。しかしたいていはブラウザ再起動で復活したので不便だと感じていたものの諦めてもいた。
ところが今回は何をしても駄目である。この日にインストールしたソフトやOSのパッチを外しても駄目で、OSの修復まで試してみたが駄目。
サイトでいろいろ検索してみると、環境によってよく起こる人とぜんぜん起こらない人がいるようだが、それなりに知られたバグらしい。どうやら IE5.0 あたりから発生し始め現在もなお解決していないという Microsoft のやる気を窺わせるシロモノだったようだ。
そしてブラウザやマシンの再起動などの対処方法はあっても根本的な解決方法はないらしい。IEを使っている限りは…。
こうして新しいブラウザの使用を検討することになった。

Webブラウザ一覧


Windows ユーザーの中には「Webブラウザ = Internet Explorer」と信じている人も多いだろう。実際普及率の点からみても = はともかく≒は成り立つといっていい(参考:Web資料館)。
以下にヘンゼルがざっと調査したWebブラウザの一覧を示す。なおここで特徴とは製作者が主張したり一般にそう言われているものであり、ヘンゼルが実際に確認したものではないことを断っておく。
ブラウザ特徴
Internet Explorer 問答無用の普及率No.1ブラウザ。抱き合わせというよりすでに OS と一体化して久しい。それ故にそこそこ高速でそこそこ安定している反面、セキュリティが弱い。
NetscapeかつてIEと激しいシェア争いを演じたブラウザ。Version 6 以降は生まれ変わって Mozilla をベースに作成されている。
MozillaNetscape 6以降のベースとなったオープンソースのブラウザ。それだけにタブブラウジング、Sidebarなどウリも共通しているようだ。
Operaコンパクトさと高速さ、マウスジェスチャーによる快適な操作性をウリにしたタブブラウザ。広告付きまたは有料である。
SafariMac OS Xの標準ブラウザ。Apple 製だけあって Mac上では IE や Netscape より高速。最近流行のタブブラウジングが可能。
SleipnirIEコンポーネントを利用したタブラウザとしては最も人気がある。強力なカスタマイズ機能やスクリプトの搭載などなかなか豪勢。
LunascapeIEコンポーネントを利用したタブブラウザ。独自のお気に入り管理やマウスジェスチャーなどさまざまな機能を持つ。
DonutIEコンポーネントを利用したタブブラウザ。最小限の機能しか搭載していないが、オープンソースのため数々のファミリーが生まれた。
Lynxテキストベースのwwwブラウザ。当然これ以上ないというくらい動作が軽い。
w3mテキストベースのwwwブラウザとしても使用可能なUNIX用ページャソフト。
もちろんこの他にもたくさんのソフトが存在するが、そこまでの興味はないので無視。

実際の比較結果


ヘンゼルの環境においてInternet Explorer 6.0Netscape 7.1Opera 7.2を比較した結果を下に示す。
IEコンポーネントを使用したものは背景に示した理由から、Mozillaは評価時点でサイトを見てもよく判らずNetscapeと似たようなものといわれかつ共存できないことから、テキストベースブラウザは絵が見れないことから評価対象に加えていない。
なお、項目の選定はヘンゼルがたまたま注目したものであり、速度などは実測ではなく感覚である。また、ブラウザの評価は環境に依存する部分が大きく、以下の比較結果が他の環境で当てはまるとは限らない。参考までに職場のマシン(Pentium 4 1.8G/512MB/Windows2000)での評価結果を()内に示す
項目Internet Explorer 6.0Netscape 7.1Opera 7.2
起動速度 当然速い。 常駐していれば速い。していなくても気になるほど遅くはない 遅いような気がするが、さほどではない。
描画速度 十分速い。 十分速い。
(けっこう遅い。)
十分速い。
(ウィンドウやフレームのサイズ変更時非常に遅くなる。)
タブブラウズ もちろん出来ない。が、IEベースのタブブラウザはそうでないものより多い。 ユーザーが明示的にタブで開くことを指示しないと、新しいウィンドウが開いたりと、けっこう駄目。 ちゃんとしたタブブラウザ。
操作性 ずっと使っているのですっかり慣れている。 よく判らない。可もなく不可もなく? 独自のショートカットキーとマウスジェスチャーで慣れたら快適だが、それまでは誤操作の嵐(^^;
IEとの互換性 当然100%。 インラインフレームの背景やJavascriptの動作など結構異なる。 テーブルのセンタリングなどIE固有の問題を除けば、意外に近い動作をする。
MIDI対応 デフォルトでWindows Media Playerと連動。 Pluginを探すのが大変だった。YAMAHA はすでに配布終了しており、結局 Quick Time Player をインストールしなければならなかった。 デフォルトで演奏可能。ただし音量固定で1ループのみ。設定方法は不明。
情報量 Web 上にはいくらでも情報が転がっている。 かつての情報はいくらでも転がっているが、Ver.6 以降の情報は少ない。最新の 7 の情報はさらに少ない。 シェアが少ないから…。
安全性 駄目駄目といわれている。実際 ActiveX など危険を感じる部分も多い。 たぶん IE よりましだろうと思われるが、素人のヘンゼルにこういう評価は難しい たぶん IE よりましだろうと思われるが、素人のヘンゼルにこういう評価は難しい
バグ(?) フォーム上で IME が効かなくなることがある。というか今回は効かなくなりっぱなし(´`) フォーム上で入力した文字が下にずれて一部隠れてしまうことがある。また通常時でも未確定文字の下線が表示されない。 同一画像を貼ったページへ移動したときに画像が崩れることがある。デフォルトのスキンでウィンドウ右下のぎざぎざにマウスを移動した際、カーソルはサイズ変更状態に変化するが実際には右角の部分のみしかドラッグできない。
(ウィンドウやフレームのサイズ変更などで再配置されたときリンクの文字の移動に下線がもとの位置に残ることがある。)
総評 とにかく普及率が高いので、IEで正常に表示できないページはそうそうない。どこかにあった「IE が W3C の規格に準拠していないんじゃなくて、W3C が IE の規格に準拠していないんだよ」というジョークはそのまま真実かも。IME が使えなくなる問題さえなければ… タブブラウザというのは名ばかり、というところがある。またMIDI演奏のための Plug-In 探しにかなり苦労させられたのが減点。Netscape のページからプラグインを探すと英語のページに誘われてしまい、なぜか日本語のプラグインのページに辿り着かないし。 IEコンポーネント非利用のタブブラウザとしては No.1。マウスジェスチャーがかっこいい。便利かどうかは別だが。ウリのうち、コンパクトさは本体のダウンロード時にしかありがたみを感じず、高速性も今のマシンでは目に見えた差が出にくい。にもかかわらずかなり無理をしているのかレンダリングエンジンの挙動に妖しさが見える。広告は1280x1024でもちょっと邪魔だがとても \4,800 も払う気になれない。

結び


なかなか完全なブラウザというのはないものである。あたりまえだが。
実のところよほどのこだわりがなければ IE でよい。普通の人が普通のサイトを普通に訪れる分には、セキュリティーはさほど問題にならず、ほぼ確実に製作者の意図どおりに表示もされるだろうから。とくにここのように 1つのブラウザでしか動作確認していないようなサイトを訪れるならなおさらである。
それにしても Microsoft が IE のフォーム上で IME が起動しなくなる問題をずっと放置してきたのは驚きである。必ず起きるわけではないから、ユーザーの環境のせいだ、と言いたいのかもしれないが、ブラウザ以外では発生せず、IE 以外のブラウザでも発生しないというのに…。