人工無脳に関する調査報告
(2003.10. 6 ヘンゼルの記憶)
人工無脳とは
人工無脳は会話する。
それもいわゆる人工知能とは違い構文解析も行わず、知識データベースも持たず、ただ過去に人間が入力した台詞を返すだけのものである。しかしこれがときとして思わぬ傑作な台詞を生み出す。
人工知能がおかしな返答をしても、それはただ失敗を意味するだけである。むろんその失敗にも学術的な意味があるのだが。
一方、人工無脳がおかしな返答をするのは当然である。まともな推論も思考も行っていないのだから。常にボケっぱなしだ。
だがもともと人間が入力した発言だけにその語調は自然で、そのためにときにはまるで人間が絶妙なボケをかましているような、そんな気にさせてくれるのだ。
人工無脳のタイプ
人工無脳には非常にさまざまなタイプが存在する。分類の仕方もいろいろ考えられるが、とりあえず代表的なものを表にまとめてみた。
| 事前登録型 |
事前にセリフを用意するタイプ。製作者やユーザーの好みの口調で会話できるため、少女タイプのデスクトップマスコットに多いようだ。 |
| ランダム型 |
人間が入力した台詞を記憶し、そこらからランダムに反応を選択する。 |
| ○○は××型 |
「○○は何?」と質問しそれに対する人間の回答××を記憶、人間が○○と発言すると××と答える。 |
| 人工知能型 |
構文解析もするし、単語を組み合わせて文の生成もする。ただしその手法は多種多様。このクラスを人工無脳というのは抵抗があるくらい。実際一昔前なら立派に人工知能として研究されていたはずだ。 |
人工無脳の実例
実際どのような人工無脳が存在するのか調査を行った。そのうちのいくつかを示す。
その他にも非常に多くの人工無脳が公開されており、その全てを調査することは不可能だった。
総評
実際に公開されている人工無脳のタイプは実に様々だが、構文解析を行い、単語を学習し、文を生成する高度なものが多い。またそれ以外のタイプでもそれぞれユニークな工夫を凝らしている。むしろ「
のあずあ〜く」のような昔ながらの単純なタイプのほうが少ないようだ。
この事実に驚くということは、つまりヘンゼルの頭の中が CPUクロック 16MHz の MS-DOSマシン時代から進んでいなかったことを意味する。「人工知能」がコンピュータの高度化と共により遠くへ進む一方で、「人工無脳」はかつての「人工知能」を飲み込み咀嚼しようとしているのだ。